「HP見ました」と言った人は、相談するかどうかを決めに来ていた
HPから問い合わせが来ない。
そう感じたとき、よくある最初の反応は「そもそも見られていないのだろう」です。
そこで検索対策を頼んだり、SNSの投稿を始めたりします。
ただ、アクセス解析を開くと、社名で検索してHPにたどり着いている人が見つかることがあります。
解析を見ていなくても、商談の場で「HP見ましたよ」と言われたことがあるなら、同じことが起きています。
あなたの会社を知ったうえで、わざわざ見に来た人がいる。それでも、相談は来ていません。
現場で起こりがちな場面として、1つ考えてみます。
異業種交流会で名刺を交換した相手が、「一度HPを見ておきます」と言って帰りました。社長は手応えを感じています。
翌朝、相手は移動中にスマホでHPを開きます。
トップには創業年と事業内容の一覧、その下に実績の写真が並んでいます。
ただ、自分の悩みがこの会社に相談していい話なのかは、どこにも書かれていません。
相手は画面を閉じ、次の打ち合わせへ向かいます。
社長の手元には、この数分間の記録が何も残りません。
問い合わせが来ない原因を、「見られていない」と決めるのは早い
HPからの相談が少ないとき、打ち手は「見に来る人を増やす」方向に偏りがちです。
検索順位を上げる、SNSで発信する、広告を出す。どれも間違いではありません。
ただ、中小企業のHPには、紹介や名刺交換、展示会で社名を知った人が、確認のために訪れることが少なくありません。
この人たちは、すでに相談の入口の手前まで来ています。
それでも連絡しないのは、HPを見ても「相談するかどうか」を決めきれなかったからです。
HPは、知らない人を連れてくる入口である前に、知った人が相談を決める確認の場です。
見に来た人が黙って帰るHPは、アクセス数だけが増えていきます。
知った人が帰っていくのは、HPが3つの問いに答えていないから
相談を迷っている人の話を聞いていくと、HPで確かめたいことは次の3つに集まります。
・自分のこの話を、持ち込んでいい会社なのか
・相談すると、次に何が起きるのか(何を聞かれ、何が整理され、費用はいつからかかるのか)
・連絡したら、すぐに売り込まれないか
一方、多くの会社のHPが丁寧に書いているのは、事業内容・会社概要・実績です。
これは「何ができる会社か」への答えで、上の3つとは別の問いです。
迷っている人が知りたいのは、「何ができるか」より「相談したら何が起きるか」です。
たとえば「営業支援」と書いてあっても、読み手は「営業が1人しかいない会社の話でもいいのか」と迷います。
「お問い合わせはこちら」のボタンだけでは、押した後に何が始まるのかが分かりません。
事業内容のページを増やしても、この迷いは消えません。
発信を増やすほど、出口の詰まりは見えにくくなる
発信から相談までを、見込み客の側から並べてみます。
名刺交換やSNSで社名を知る、HPで確かめる、問い合わせる、最初の返信を受け取る。
この4つは、社内ではたいてい別々に扱われています。
名刺交換は営業、HPは制作会社、問い合わせの受付は事務、返信は手の空いた人、という分かれ方です。
それぞれは動いていても、見込み客と同じ順番で通して見ている人がいません。
この状態で発信を増やすと、見に来る人は確かに増えます。
ただ、確認の場で迷って帰る人も一緒に増え、その理由はどこにも記録されません。
発信の量を増やす前に、どこで人が離れているかを先に確かめる。
そのためには、HPを見た人の数、問い合わせページを開いた人の数、実際に送った人の数を分けて見ることです。
HPの問題に見えて、名刺交換後のお礼メールや、最初の返信の中身に原因があることも珍しくありません。
最近の顧客3人に、「連絡する前に何を迷いましたか」と聞いてみる
どこで迷わせているかは、社内で話し合っても見えにくいものです。
いちばん確かなのは、実際に相談してくれた人に聞くことです。
・直近で取引が始まった顧客を3人選ぶ
・「当社に連絡する前、何を見て、何に迷いましたか」と聞く
・出てきた迷いを、先ほどの3つの問いに振り分ける
どの問いにも当てはまらない迷いが出たら、HP以外の場所、たとえば紹介者の説明や名刺交換の場で生まれている可能性があります。
この聞き取りは、HPを作り直す前や、新しい発信を始める前のたびに使えます。
聞いた言葉は、そのままHPの見出しや、問い合わせページの説明文の材料になります。
今日できること
今日、直近で取引が始まった顧客を1人思い浮かべて、「連絡する前に何に迷っていたか」を聞いてみてください。
出てきた答えのうち、HPのどこにも書かれていない迷いが、見に来た人を黙って帰らせている問いです。
どの問いから埋めるかは、会社によって違います。
紹介で来る人が多い会社と、検索で来る人が多い会社では、確認の場で迷うところが変わるからです。
HPの文面だけでなく、名刺交換から最初の返信までを通して見直したいときは、発信から相談までの流れを一緒に整理し、現場で回るところまで整える支援もしています。
見に来た人は、あなたの会社のHPで、何に迷って帰ったのでしょうか。
