差別化は、価格ではなく「揃った言葉」で決まる
相見積もりの場で、担当者Aは「品質の高さ」を語り、担当者Bは「対応スピード」を語り、担当者Cは「価格の安さ」を語る。
同じ会社の営業なのに、顧客に伝わる強みが毎回違う。
顧客からすれば「結局この会社の強みは何なのか」が分からないまま、比較材料は価格だけに絞られていく。
差別化ができていないのではなく、差別化した内容が社内で揃っていないだけかもしれない。
まずは自社の現場を、少しだけ覗いてみてほしい。
「うちの強みは価格じゃない」と言うのに、値下げで対応している
「うちの強みは価格じゃない。ちゃんとやってきた実績がある」。
そう言い切る経営者は多い。
ところが、いざ営業の現場に同行すると、担当者は値下げの話ばかりしていることに驚く。
本人に理由を聞くと、「価格以外に何を話せばいいか分からない」と返ってくる。
強みは確かに存在するのに、現場でうまく言葉にできていない。
これは営業担当個人のスキル不足ではなく、強みが「言葉」として社内に揃っていないというサインだ。
営業担当3人に同じ質問をすると、答えが割れる
試しに、営業担当や現場責任者3人に「うちの強みは何ですか」と同じ質問をしてみてほしい。
答えが3つとも同じ方向を向いていれば、差別化は社内でしっかり機能している。
一方で、「品質」「対応の速さ」「価格の安さ」など、バラバラな答えが返ってくる会社は多い。
これは、経営者の頭の中にある強みが、現場まで届いていない状態を示している。
[代表確認:実際にお客様先でこの質問をして答えが割れた事例があれば、2〜3行追加してください]
答えがバラバラなのは、強みが「言葉」になっていないから
差別化ができていないわけではない。
多くの中小企業には、価格以外の確かな強みがある。
問題は、その強みが誰にでも同じように説明できる「言葉」になっていないことだ。
社長の頭の中では明確でも、現場に伝わる形に落とし込まれていなければ、顧客には伝わらない。
顧客は営業担当の説明でしか、その会社を判断できないからだ。
説明がバラバラな会社は、結果として「価格でしか比較されない会社」になっていく。
よくあるケースとして、従業員20名ほどの製造業で考えてみる。
社長は「うちは納期の正確さが強み」と考えているが、営業担当は品質の高さを、現場責任者は柔軟な対応力を強みだと語っていた。
どれも間違ってはいない。
しかし、顧客から見れば「結局この会社は何が一番なのか」が定まらず、最後は価格の話に流れやすくなる。
今日できる簡易チェック:3人に同じ質問をしてみる
まずは今日、次の3つを確認してみてほしい。
・営業担当や現場責任者3人に「うちの強みは何ですか」と聞く
・答えの方向性が揃っているかを確認する
・揃っていない場合、どの言葉が一番顧客に響いているかを比べる
このチェックリストは保存しておき、来期以降の営業会議でも定期的に使ってほしい。
答えのズレは、一度直せば終わりではなく、社員の入れ替わりのたびに起こりうるからだ。
独自ポジションは「足す」のでなく「揃える」ことで生まれる
差別化というと、新しいサービスや機能を追加することを考えがちだ。
しかし、多くの場合、必要なのは「新しさ」ではなく「揃った言葉」だ。
すでにある強みを、社内で同じように語れる状態にするだけで、顧客の受け取り方は大きく変わる。
これは、営業資料を作り直すことよりも、先に着手できる取り組みだ。
そして、値上げや価格交渉の場面でも効いてくる。
強みが言葉として揃っている会社は、価格を理由に交渉されても、価格以外の理由で押し返せる。
逆に、強みが揃っていない会社は、価格を下げること以外に交渉のカードを持てない。
HITOTASUが言葉集めに同行する際は、社長の言葉だけでなく、現場で実際に使われている表現を拾い上げることを大切にしている。
現場の言葉には、顧客に刺さっているヒントがすでに含まれていることが多いからだ。
差別化を仕組みにするために、次にやること
強みの言葉を揃えるには、社長が一人で決めるのではなく、現場の声を集めながら作る過程が欠かせない。
現場が実際に使っている言葉を拾い上げ、共通の言葉として磨き上げていくことが、差別化を仕組みにする第一歩になる。
まずは、営業担当や現場責任者3人に、同じ質問を投げかけてみてほしい。
答えが揃うかどうかで、差別化ができているかがすぐに分かる。
揃えるべき言葉も、伝え方の正解も、会社によって違う。
自社だけで整理するのが難しい場合は、現場に入って一緒に言葉を揃えていく支援も行っている。
あなたの会社の強みは、社内で同じように語られているだろうか。
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