現場を任せられる人がいない。

そう感じている経営者は少なくありません。

ただ、「任せられる人がいない会社」と「任せたのに戻ってくる会社」は、別の問題です。

そして実際に多いのは、後者のほうです。

権限を渡した。役職もつけた。それでも、確認の電話は社長にかかってくる。

このとき、原因は人ではないことがほとんどです。

社長が現場から離れるために必要な仕組みは3つあります。見える化、ルール化、権限移譲です。

多くの会社は、この3つのうち最後の1つから始めています。

「任せられない」と「任せたのに戻ってくる」は別の問題

よくあるケースとして、従業員30名ほどの会社を考えてみます。

社長は営業部長に、見積の決裁を任せました。

翌週、部長は顧客の前でこう言います。

「金額は社長に確認して、あらためてご連絡します」

社長にしてみれば、渡したつもりでした。

部長にしてみれば、いくらまでなら自分で決めていいのかを聞いていません。

顧客から見れば、決められない会社です。

渡したのは決裁で、渡していなかったのは判断の線引きでした。

「任せた」と言った日から、社長の仕事はむしろ増えています。

戻ってきた案件を確認する時間が、そのまま上乗せされるからです。

[代表確認:類似する実体験があれば、2〜3行追加してください]

戻ってくる仕事には、3つの種類がある

戻ってきた仕事を、戻ってきた理由で分けてみます。

・情報がなかったから戻ってきた
・決め方がなかったから戻ってきた
・決めていいと思われていなかったから戻ってきた

1つ目は、案件の状況や数字が社長の頭の中にしかない状態です。担当者は判断材料を持っていません。

2つ目は、判断の基準が言葉になっていない状態です。値引きの上限、例外を認める条件などが決まっていません。

3つ目は、基準はあるのに、決めた人が後で責任を問われるかもしれないと感じている状態です。

この3つは、症状は同じでも、足りている仕組みが違います。

順に、見える化、ルール化、権限移譲です。

権限だけを先に渡すと、判断は社長へ返ってくる

多くの会社は、3つ目から手をつけます。

役職をつけ、決裁権を渡し、「任せたから」と伝える。

いちばん早く、いちばん分かりやすいからです。

ただ、見えていない仕事は、渡した瞬間から見えないまま進みます。

担当者は判断材料を持たないまま、判断だけを求められることになります。

決められなければ、社長に聞くしかありません。

こうして、渡したはずの判断が社長へ返ってきます。

さらに厄介なのは、返ってきた判断を社長が処理するたびに、「やはり社長に聞いたほうが早い」という経験が社内に積み上がることです。

半年ほどで、権限移譲を始める前の状態に戻ります。

制度が悪かったのではありません。順番が逆になっているだけです。

先に見えるようにする。次に決め方をそろえる。渡すのは最後

順番を戻します。

1つ目は見える化です。案件の状況、金額、進捗、期日を、社長以外も同じ場所で見られるようにします。

ここでの合格ラインは、報告が増えることではありません。社長が聞かなくても現場が分かる状態になっているかどうかです。

2つ目はルール化です。判断の基準を、条件と結果の形で言葉にします。

「この金額までは担当者が決めてよい」「この条件に当てはまる場合は例外を認めない」という粒度で十分です。

完璧なルールは要りません。よく起きる判断の上位3つだけを決めれば動き始めます。

3つ目が権限移譲です。ここで初めて、決めていいと伝えます。

そして、決めた結果を社長が後から覆さないこと。これをセットにします。

一度覆すと、次から全員が確認に戻ってきます。

[代表確認:類似する実体験があれば、2〜3行追加してください]

今週、社長の机に戻ってきた案件を3つ書き出す

やることは1つです。

この1週間で、自分のところへ戻ってきた案件を3件、書き出してください。

そのうえで、戻ってきた理由を3つに分けます。

・情報がなかった(見える化の不足)
・決め方がなかった(ルール化の不足)
・決めていいと思われていなかった(権限移譲の不足)

いちばん多かった欄が、いま手を入れる場所です。

見える化が足りないまま権限だけを渡しても、案件はまた戻ってきます。

下の層を飛ばして上の層から始めない。守るのはこの一点だけで構いません。

社長が現場に居ること自体は、問題ではない

現場に居る社長は強いです。顧客の変化にも、社員の様子にも早く気づきます。

問題は、居ることではありません。社長が居ないと止まることです。

どこで止まるのかが分かれば、離れられる範囲も決められます。

そして、どの層から手をつけるかは会社によって変わります。

社員数、業種、社長が現場にどこまで入っているかで、順番の入り方は変わります。

自社だけで切り分けにくいときは、第三者と一緒に分類してみてください。

HITOTASUでも、戻ってくる仕事を3つに分けるところから、営業・組織・業務を横断して一緒に整理しています。

▼HITOTASU(株式会社ヒトタス)
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