「なぜこの数字なんですか」と聞かれて、答えに詰まったことはないでしょうか。
ある経営者から、こんな相談を受けたことがあります。半年前、現場から特に反対もなかったからと、新しい仕入れ先への切り替えを社長ひとりの判断で決めた。ところが数か月後、納期の遅れとクレームが重なり、現場は疲弊。「聞いていれば防げた」と社員から言われて初めて、自分の判断のどこが甘かったのか分からないまま、時間だけが過ぎていました。
この社長が特別だったわけではありません。忙しい経営者ほど、同じような場面に何度も出会っています。しかも厄介なのは、判断した瞬間には誰も違和感を口にしないことです。
判断が誤る瞬間には、共通点がある
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経営判断が誤る瞬間には共通点があります。情報が足りないこと自体は珍しくありません。
問題は、情報が足りないまま「たぶん大丈夫」という感覚で判断を確定させてしまうことです。現場に聞けば数分で分かることを、忙しさを理由に飛ばしてしまう。あるいは、以前うまくいった判断基準を、状況が変わった今も同じように当てはめてしまう。
これは投資や仕入れの判断だけでなく、人事の判断でも同じことが起きます。「頑張っているから」という印象だけで昇格させ、半年後にポジションと実力のズレに気づく、というのもよくある話です。
感情・思い込み・情報不足の3つは、バラバラに起きるのではなく、たいてい同時に重なって判断を歪めます。そして厄介なのは、判断した瞬間には「これでいい」と本人が確信していることです。誤りは、たいてい結果が出てから初めて気づきます。
放置すると、何が起きるか
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この癖を放置すると、会社の中に「社長の判断は当たるときも外れるときもある」という空気が広がります。すると社員は、判断が外れたときのリスクを負いたくないので、重要な情報ほど早めに社長へ上げなくなる。悪い報告ほど遅れて届くようになり、気づいたときには手遅れ、という状態が繰り返されます。
結果、社長はますます少ない情報で判断せざるを得なくなり、悪循環が固定化します。中小企業では、この悪循環がそのまま「社長しか判断できない組織」を作ってしまうケースが少なくありません。社員が育たないのではなく、社員が育つ前に、判断そのものが社長に集中してしまうのです。
半年、一年とこの状態が続くと、社長は「結局自分が全部決めるしかない」と疲弊し、社員は「どうせ最後は社長が決める」と受け身になる。どちらも望んでいないのに、そういう組織ができあがってしまいます。
今日からできること
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すぐにできることは3つあります。
### 1.反対意見を1つだけ聞く
賛成意見だけを集めて判断すると、情報の偏りに気づけません。重要な判断の前に、あえて厳しいことを言う社員に、一言だけ意見を聞いてみてください。
### 2.「なぜ今なのか」を自問する
急いでいる理由が「本当に急ぐべきこと」なのか、「ただ気持ちが焦っているだけ」なのかを分けて考えるだけで、判断の質は変わります。
### 3.判断の根拠を一行メモに残す
後から見返したとき、感情で決めたのか、情報で決めたのかが自分でも分かるようになります。
根本的な解決は「仕組み」
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とはいえ、これらは応急処置に過ぎません。本質的な解決は、現場の情報が自然と経営者に届く「仕組み」を作ることです。誰かに気を遣わせて報告させるのではなく、週次の短いミーティングや簡単な報告フォーマットを決めて、情報が自動的に上がってくる状態を作る。
判断基準についても、社長の頭の中だけに置かず、簡単な形でも言語化しておくと、社員も「なぜこの判断なのか」を理解できるようになり、次第に社長ひとりに判断が集中しない組織に変わっていきます。仕組みの形は会社の規模や業種、抱えている課題によって変わりますが、考え方の軸は共通しています。大切なのは、完璧な制度を作ることではなく、情報が滞らない流れを作ることです。
まとめ
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経営判断を誤る瞬間は、能力の問題ではなく、情報と仕組みの問題であることがほとんどです。感情や思い込みそのものをなくすことはできませんが、それに気づける仕組みを持つことはできます。
どんな情報を、どんな頻度で、誰から吸い上げる仕組みが合っているかは、会社の状況によって正解が異なります。もし「自分の判断が偏っていないか、一度誰かに整理してもらいたい」と感じるなら、現状を一度棚卸ししてみることをおすすめします。ヒトタスでは、こうした経営判断の仕組みづくりについて、現場の実情に合わせた整理をお手伝いしています。
> **「その判断、感覚だけで決めていませんか?」**
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